さまざまな生き物が自然の中から生まれ、自然の中へ帰っていきます。
人もまた例外ではありません。私たちも、ほかの生き物たちと同じように、土へ帰ることが出来るのです。

日本では現在、人は石の墓に入るものと思われていますが、他の全ての生き物達と同じように大自然に抱かれたいという気持ちから自然葬へ感心をお寄せになる方々も増えておられるようです。

樹木葬も自然葬の一つですが、散骨はせず土の中に遺骨を埋葬し、石碑ではなくお好きな樹木を植えていだたきます。遺骨は土に返り森を育て、さまざまな生命を育み続けることでしょう。

私は、自分のおりますこの宝宗寺が素晴らしい自然に恵まれていることを生かし、そういった方々に新しいお墓の形をご提供できればと思いこの樹木葬を始めました。

樹木葬を始めて私どもが何より嬉しく思いましたのは、樹木葬をご予約になられる方の多くは「自分はやりたいことを全てやったから、どこに埋もれても構わない。石碑を建てて自分の存在を示さなくとも良い。」という考えをもっておられるということです。「人生を悔いなく生きよう、納得できるような生き方をしよう」というお気持ちでおられること、それが何より素晴らしいことだと思うのです。

こういった方々とは別の理由で樹木葬に興味をお持ちになられる方もおられます。例えば「家系」を重んじたこれまでのお墓のあり方では立ち行かなくなっておられる方々などです。こういった方は深刻な悩みを抱えておられます。

子供がいない（又は女の子しかいない）、お墓は誰が見ていってくれるのだろう、無縁墓になってしまうのだろうか・・・

子供は遠く故郷を離れ－おそらくもう戻ることはないだろう－、お墓を移転させたいが移す先が見つからない・・・

先祖代々のお墓に入りたくない→自分でお墓を探さなくてはならない、自分自身が信仰してきた宗教がないのでどこにも行き場が見当たらない・・・・

他にも色々な悩みがあるがゆえに樹木葬墓地をお尋ねになる方がおられます。

先祖代々のお墓を立派にお祀りなされる方は、大変尊い事と存じますが、今までのお墓の形にとらわれず、別の解決策をお探しになることで、悩みから開放されることもあるのではないかと思います。樹木葬に限らず近年は葬送の自由度が広がっておりますので「死後のため」ではなく「生きている者のため」にも良い形のものをお選びになられると良いと思います。ご先祖様は子孫の幸せを願うものですから、お墓を守る事を優先するあまり、子孫の負担になってしまうことは決してお望みではないはずです。

仏教は本来、「今」をいかに生きるかを説いているものであります。

近年仏教は葬儀にまつわる儀式ばかりに力を入れてしまい、「仏教は死後の世界の教え」との誤解を生じさせるようになってしまいました。しかし、仏教は一生懸命生きることの大切さも説いているのです。

その点において、仏教本来の教えと重なりあうこの「樹木葬」が縁となり、今をいきいきと生きておられる皆様、自分らしく生きたいと思っておられる皆様と触れ合える機会を得られたことは、たいへん感慨深いことです。

最後に、宝宗寺では宗教・宗派を問わずお申し込みいただけますので御関心をお持ちの方はぜひ見学にいらしてください。

お待ちいたしております。